
CAMPxGEAR編集長
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キャンプ用バーナー・コンロとは
キャンプで利用するバーナー・コンロとは野外で加熱調理するために使用する調理器具のことです。
キャンプでは焚き火や炭を利用した加熱調理も行いますが、準備に時間が掛かる、火力の調整が難しいという欠点があります。
そのため焚き火や炭で調理する場合でもお手軽にお湯を沸かす、もう1品何かを作るなどサブ火力としてバーナー・コンロは大いに活躍します。
またツインバーナーなど大型のものはメインの加熱調理器具として焚き火などに比べて準備・片付けが楽、雨天時のタープ下でも利用できるといったメリットがあります。
災害時や停電時などにも活躍するため、防災用としても持っておきたいキャンプギアです。
バーナーを英語ではポータブルストーブ(Portable Stove)と言います。日本語でストーブは暖房機器を意味しますが、英語では加熱調理器具を主に意味し、日本語のストーブに対応する言葉はheater(ヒーター)になります。
バーナーは狭義では炎が吹き出す炎口を指しますが、広義で燃焼装置全体を指し、キャンプ用バーナーでは燃料タンクから五徳まで一式を意味します。
コンロはカタカナで外国語のイメージがありますが、正しくは「焜炉」と書き日本語です。元は運搬が可能な小型の炉を意味してました。
キャンプではカセットコンロや固形燃料のコンロなど、燃料を含まない残りの燃焼装置をコンロは意味することが多いです。また一般的には加圧など空気を混合して燃焼させるものをバーナーと呼びます。
しかし加圧しないアルコールを燃料とするものをアルコールバーナー、アルコールストーブ、アルコール焜炉と3つの呼ばれ方がされるように、キャンプで利用するバーナーとコンロは用途も意味が近いです。
そのため、ここではバーナー・コンロについて厳密には区別せずに解説していきます。英語のポータブルストーブの括りと同じです。
なお同じ用途で利用することもできるウッドストーブ(ネイチャーストーブ)については取り扱いが大きく違うので焚き火台のページで解説します。
このページではさまざまな種類があるバーナー・コンロについて初心者でもわかりやすいように解説して行きます。
バーナー・コンロの特徴
キャンプで利用するバーナー・コンロは燃料を燃焼させ、炎を吹き出し、鍋、フライパン、やかんなどの直接食材と接する調理器具を調理が完成するまで適切な温度で加熱します。そのために
- 炎口から炎を吹き出すこと
- 調理器具を支える五徳などがあること
- 燃料の交換、補給ができること
- 火力の調整ができるものが多い
という特徴があります。
バーナー・コンロの燃料としてはガソリン、ガス、アルコール、固形燃料などが使われます。また燃料式と仕組みは異なりますが電気を熱に変換する電気コンロもあります。
キャンプ用としては利用されているバーナーの多くはガスを燃料としています。ガソリン、アルコール、固形燃料は軽いことや寒冷地で利用できるなどのメリットから登山用として活躍します。
なおメーカーは特に登山用、キャンプ用などと分けて販売していません。
バーナー・コンロの種類
燃料の違い
バーナーの燃料としてはガソリン、ガスの2種類があります。それぞれガソリンバーナー、ガスバーナーと呼ばれます。キャンプ場で人気があるのはガスバーナーです。
コンロの燃料としてはガス、アルコール、固形燃料が使われます。それぞれカセットコンロ、アルコールストーブ(アルコールコンロ、アルコールバーナー)、固形燃料ストーブ(固形燃料コンロ)と呼ばれます。
バーナーで使用するガソリンは車に入れるレギュラーガソリンではなく、ホワイトガソリンを使用します。赤系に着色された車用のガソリンと違ってホワイトガソリンは純粋な石油成分のみで添加物が入っておらずススの発生が少ないです。
ただしマルチフューエル式と呼ばれるタイプはレギュラーガソリン、灯油など複数の燃料を燃焼できるものもあります。
ガスを燃料とする場合、一般的なカセットコンロで使用されるCB缶(Cassette Gas bombe)と、OD缶(OutDoor)の2種類があります。
OD缶はCB缶より高価ですが低温でも使用できるのが特徴です。一般的に販売されている安価なCB缶の中身は液化ブタンとなり、外気温が約10度を下回ると使用できません。
CB缶にもイソブタンやプロパンを混合した寒冷地仕様タイプもありますが、それでも外気温が0〜5度(商品により異なる)を下回ると使用できません。(イワタニ公式サイトFAQより)
OD缶の場合例えばSOTO製品の場合、外気温マイナス5度まで使用できます。(SOTO公式サイトFAQより)
バーナー・コンロについてガソリン、ガス、アルコール、固形燃料、電気式の性能、手間、制限、1時間あたりのランニングコストを比較すると以下の違いがあります。
種類 | 燃料 | 火力 | 手間 | 気候制限 | 燃費 |
---|---|---|---|---|---|
バーナー | ホワイトガソリン | ◎ | ✕ | ◎ | 14.5g – 14.2円 |
ガス(OD缶) | ◯ | ◯ | 寒さ : △ | 13.5g – 26.7円 | |
コンロ | ガス(CB缶) | ◎ | ◎ | 寒さ : ✕ | 13.5g – 7.1円 |
アルコール | ✕ | △ | 風 : ✕ | 22.8g – 11.4円 | |
固形燃料 | ✕ | ◯ | 風 : ✕ | 19.7g – 37.0円 | |
電気 | ◯ | ◎ | ◎ | 0.1kw – 2.7円 |
手間としてガソリン、アルコールは燃料の補給や余った燃料の処理が必要です。
またガソリンタイプの一部はポンピングと呼ばれる加圧作業が必要で、商品により異なりますが30〜100回程度(15〜50秒程度)、ポンプでタンクに空気を送り込んで加圧します。
アルコールや固形燃料、一部のガソリン、ガスのモデルでは着火装置がないため、マッチ・ライターによる着火が必要です。
アルコールと固形燃料は風が強いと火がすぐに消えてしまいます。風防などの対策が必須です。
電気式は電源サイトで使用という場所の制限があります。電源サイト以外だと大型のポータブル電源が必要となり、充電や運搬などで手間が△になります。
一般的なオートキャンプでは数百グラムの差は気になりませんが、登山用品としては、軽さという判断基準が大きくなるため、アルコールや固形燃料がより評価されます。
一体型・分離型の違い
バーナーは燃料缶に直接燃焼部が結合する一体型と、間にホースを挟み離すことができる分離型の2つがあります。
一体型、分離型のメリット、デメリットを比較すると以下の違いがあります。
構造 | メリット | デメリット |
一体型 |
|
|
分離型 |
|
|
一体型はお湯を沸かす、メスティンでご飯を炊くなどの一般的な用途であれば何も問題はありません。
しかし五徳が小さいこと、高い位置に置かれていることから、大型でバランスを取りづらい調理器具を載せると、ちょっとした接触や揺れなどで簡単に転倒するリスクを持ちます。
また調理器具の鍋底が熱を持つことで周囲に赤外線を発生します(輻射熱)。輻射熱でガス缶が熱せられると爆発する危険性があるため、一体型は
- スキレットのように輻射熱を発生しやすい調理器具、調理方法は危険
- その他調理器具でも連続して長時間の使用は危険
という制限があります。
そのため一体型シングルバーナーはソロキャンプ向きです。小さなお子さんがいるファミリーキャンプには分離型がオススメです。
口数の違い
ガスバーナー、ガスコンロは口数が1〜3つまで商品があります。
口数が1口のバーナーをシングルバーナーと呼び、2口をツーバーナー(ツインバーナー)と呼びます。
キャンプのメイン火力として使用するならツーバーナータイプか1口カセットコンロを主として補助的にシングルバーナーの併用がオススメです。
シングルバーナーを2個の場合、長時間連続する料理には分離型でも若干の不安があります。
炎口の形状の違い
バーナー、カセットコンロの炎が吹き出す炎口には外炎式、内炎式、多孔式の3種類があります。
外炎式が旧来の一般的な形状でお椀状に炎が広がり、鍋底にあたった炎は外へ外へと流れていくような形状です。
対して内炎式は炎の向きが内側に傾いており、鍋底にあたってもクビレた形状で外へ流れる量が少ないです。
また従来品より炎口を縦に長くした外炎式タテ型と呼ばれる分岐系もあります。
多孔式は通常の方式だと上から見ると炎口が円状に1列並んでいるものが、3列など複数列だったりランダムに多数の炎口があるような形状です。
外炎式、外炎式(タテ型)、内炎式、多孔式のメリット・デメリットを比較すると以下の違いがあります。
形状 | メリット | デメリット |
---|---|---|
外炎式 |
|
|
外炎式(タテ型) |
|
|
内炎式 |
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多孔式 |
|
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外炎式(タテ型)は旧来の外炎式を改善、改良したもので旧来の外炎式と内炎式の中間の性能になっています。
内炎式は鍋など鍋底が円系のものは良いのですが、四角い鉄板やたこ焼きプレートなどでは外側が温まらないデメリットがあります。
多孔式は例えばイワタニの多孔式バーナーでは282個もの炎口があります。
それがお椀を逆さまにしたような形状に配置されており、強い風が吹いても風下の下側の炎口は消えづらいため、そこの火が一度消えた炎口にも燃え移り復活します。
構造の違い
上級者向けですがガスバーナーには
- マイクロレギュレーター
- ヒートエクスチェンジャー
- 金属繊維を加工した燃焼孔
という構造を持った商品があります。
マイクロレギュレーターは燃料がガスで外気温が低い場合に不安定になることを減らします。
ヒートエクスチェンジャーは金属の蛇腹をクッカー下部に設けることで熱変換の効率を上げ、結果的に沸騰までの時間短縮や、消費燃料を減らすメリットがあります。
金属繊維を加工した燃焼孔は髪の毛ほどの太さの金属繊維を複雑に絡ませることで多孔式をさらに極めた構造で、効率的な燃焼で耐風性能を大きくあげます。
どれらも高性能ですが主に上級者や登山向けで一般的なキャンプでは必要性は低いです。
初心者におすすめのバーナー・コンロ
初心者はズバリ「イワタニ カセットフー タフまる」がオススメです。
理由は以下の4点です。
- カセットコンロで取り扱いが簡単
- ウィンドスクリーンが不要なほどに風に強い
- 耐荷重20kgでダッチオーブンが載せられるほどの頑丈さ
- 危険な状態までカセットボンベが熱せられると自動で外れる安全装置付き
- キャンプ以外に自宅で日常利用や万が一の防災用としても活用が可能
バーナー・コンロのよくある質問
カセットコンロ大手のイワタニでは10年で買い替えを推奨しています。
動作不良が大きな事故になるキャンプギアですので無理はしないようにしましょう
キャンプ用品専門店、スポーツ用品店、登山用品店、ホームセンター、メーカー公式サイト、AmazonなどのECサイトで購入できます。
ツーバーナーは意外と大きい・小さいが起きやすいので一度実物を見るか、ネットでサイズをしっかり調べるようにしましょう
バーナー・コンロの選び方
燃料や構造がさまざまで、メーカーによりいろいろな特徴を持つバーナー・コンロはどうやって選べばよいのでしょうか。
選び方のヒントをお教えします。
ポイント1.性能が過剰な商品を除外する
例えば「シングルバーナー」などで検索するとオススメ商品として、登山用の高機能なマニアックな商品を上位につけているサイトが多いです。
そのようなサイトではキャンプ用途に限定してオススメしているわけではないので、大手サイトだからと言って、信用しすぎないように注意しましょう。
一般的なキャンプではそこまでの性能は必要としません。逆に過剰に高性能商品は高額でメンテナンス性が落ちるので一般利用としては不向きな商品も数多くあります。
耐風性能についても一般的なキャンプなら風除けはウインドスクリーンを別途購入するほうが合理的です。
冬キャンプ、雪中キャンプなどをいずれ楽しみたいと思っていても、まずは通常の季節用の性能が過剰ではないキャンプギアを用意しましょう。
ポイント2.燃料を決める
コスパや入手難易度、取り扱いやすさなど総合的な判断で、バーナー・コンロの燃料はガスのCB缶で十分です。それ以外の燃料は上級者向けか、ソロキャンプなどで趣味的な利用にとどまります。
4月中旬〜10月中旬ぐらいの一般の人がキャンプを行いやすい気候では最低気温が東京近郊であれば10度を下回ることはありません。
最低気温が5度以上であればOD缶も不要です。高地などで最低気温が5〜10度程度が見込まれる場合、耐寒性のあるCB缶を用意しましょう。
最低気温が5度未満の場合、暖房や寝袋、地面からの冷気対策など考慮し追加で購入すべきキャンプギアがたくさん出てきます。通常の気温でいろいろ経験し、しっかり下調べしてからチャレンジしましょう。
ポイント3.火力で決める
バーナー・コンロの火力は最大発熱量として単位はkcal/hやkWで表現します。バーナーではkcal/h単位が、カセットコンロではkWが使われることが多いです。
1kWは860kcal/hのため、よくある性能の換算表は次のとおりです。
kcal/h | kW |
---|---|
2000 | 2.3 |
2500 | 2.9 |
3000 | 3.5 |
一般的なご家庭にあるカセットコンロは2.9〜3.5kWで変換すると2,500〜3,000kcal/h程度です。
2,500kcal/h(2.9kW)以上の性能があるとだいたいの料理は問題なく調理できます。さらに3,000kcal/hあると時短になるのでオススメです。
これより火力が小さいものは軽さを重視した登山やソロキャンプに向いてます。
ポイント4.メーカーの信頼度で絞り込む
バーナー・コンロで取り扱う燃料は危険物です。安いからとノーブランド品を購入するのは大きなリスクがあります。
大手メーカーはPL法(製造物責任法)があり、大きなトラブルで評価を落とすのは会社やブランドとしても致命的なため当然しっかり対策しています。
しかしノーブランド品では会社やブランドは関係がありません。輸入品もPL法は対象ですが、責任を負うのは輸入業者です。
ECサイトの輸入業者には、ほぼ個人のような業者や、qoo10やAliExpressなど外国居住の外国人で日本の法律が適用出来ない業者もいます。
ポイント5.素材で選ぶ
料理には水分、塩分と鉄系素材が苦手なものが多く使われます。やはり素材がアルミ合金、ステンレスはサビにくくメンテナンスがしやすいです。
ポイント6.耐荷重で選ぶ
4人前が目安の10インチのダッチオーブンに水を満たすと最大15kg弱、12インチだと20kg弱です。
ダッチオーブンを使いたい人は耐荷重にも注意してください。
私が選ぶ最強のバーナー
私が選んだ最強のバーナーは「ユニフレーム ツインバーナー US-1900」です。
- 見た目がスタイリッシュ
- ステンレス製、耐荷重15kg(1口あたり)、最大火力3,000kla/hとキャンプに必要なポイントをしっかり抑えている
- CB缶を温めて出力低下を防ぐパワーブースター機能付き
- 風防や五徳は取り外す可能で掃除が楽
- CB缶はやっぱり楽
興味を持った人は、ぜひお試しください。